ビルメンがダメ人間になってしまう「楽な現場」の話

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玄武くん

ビルメンになって楽な現場で働きたい!
そんな現場ってあるの?

そんなことを思った人はいませんか?


結論から言うと楽な現場は存在します。


長年ビルメンをしているとそうした現場に出くわすことがあります。


もちろん、僕も楽な現場を経験済みです。


誰しもが仕事で楽ができたらいいなと思うものですよね。


しかし実際に楽な現場を経験するとどうなるのか?


今回は、実際に僕が経験した「楽な現場」の仕事内容や感じたことを紹介したいと思います。

目次

楽な現場のメリット・デメリット

まず、楽な現場を経験してみて感じたメリットとデメリットを紹介します。

メリット

  • ストレスフリーで仕事ができる
  • 宿直中に遊べる
  • 簡単な仕事内容なので誰でもできる
  • 楽な現場は少数なところが多く、人間関係に悩むことがない
  • 仕事より待機時間が多いので好きなことができる

デメリット

  • 椅子に座っている時間が長いので体が鈍る
  • 経験が積めない
  • 刺激がなくて退屈
  • 考える力がなくなる
  • 現場異動の時、苦労する
  • 新しいことに挑戦するのが億劫になる

楽な現場は精神的に辛くなる?

楽な現場のメリットは言葉の通り「とにかく楽」なことです。


一日の作業量も少なく、作業終了後は1日中防災センターで待機という名の休憩となります。


また、楽な現場は人員数が多くない小さなビル・施設の管理がメインとなっているため、人間関係に悩むことがないです。


僕は人間関係に悩まないことが、楽な現場の最大のメリットだと思っています。


しかしその逆に多くのデメリットも楽な現場にはあります。


僕が経験してみて感じたことは、楽過ぎて逆に辛くなるということです。


「楽過ぎて辛くなる?」一見意味の分からない言葉ですが、初めこそ楽しかった楽な現場はいつしか僕を精神的に追い込んできました。


無味乾燥の毎日に嫌気がさしてきたからです。


仕事が充実している人をみるととにかく羨ましく感じ、このままでいいのかなと自問自答していた時期もありました。


特にいろいろなことを経験してみたい20代・30代の方であれば、楽な現場はおすすめできません。


つまるところ「楽な現場」は年配者が働くのに向いている場所と言えるでしょう。

僕が経験した楽な現場

それでは、僕が経験した現場を紹介します。


この現場に配属されたのは、まだ僕が20代の若かりし頃でした。


僕はビルメンテナンス業界に中途未経験で転職しています。


正直な話、転職理由は「楽」であるとビルメンテナンスをしている知人に聞いていたからです。


初めて配属された現場はそれなりに忙しかったのですが、次の異動先となったこの現場が本当に楽な現場だったのです。

一日の業務内容

一日のスケジュールは次のようになっています。

時間内容
9:00~9:10朝礼
10:00~10:30早朝巡回
11:00~11:30消防設備巡回点検
12:00~13:00休憩
13:00~13:30空調機点検
防災センター待機
17:00~17:30夕方巡回点検
18:00日勤者終業、宿直者業務
防災センター待機
24:00宿直者仮眠
6:00起床
防災センター待機
9:00~9:10朝礼(宿直引継ぎ)、宿直者終業

この現場は特殊な施設になっていて、館内で「都」が管理しているエリアと「区」が管理しているエリアで分かれていました。


僕たちが管理していたのは「区」の方です。


そのため業務内容が、館内の防災設備と一部の「区」が管理しているエリア(駐車場・館内エントランス)の設備のみとなっていました。


つまり館内の管理エリアのほとんどが「都」であったため、そちらのエリアでは別の設備会社が請け負っていたのです。


防災設備以外の9割くらいの業務は別管理会社が請け負っていたため、館内のトラブル対応もほとんどなく、防災センターで待機している時間が1日の大半を占めました。


人員数も少ない現場で、所長を含めて設備員5名の警備が3名だけでした。


1日の必要人員数は設備3名の警備1名です。

点検内容

それでは、前述したスケジュールから詳しい点検内容を紹介します。


まず9時から朝礼が始まり前直者から引継ぎを受けます。


10時から始まる早朝巡回は、館内外周の点検と各水栓から残留塩素測定をします。


所要時間は30分程度です。

11時からの消防設備の巡回点検もスプリンクラーや消火器の目視点検程度の内容で30分以内で点検は終わります。


午前中の点検はこれで終了。後は昼休憩まで防災センター待機です。


ちなみに防災センターでは、空調監視や電力監視といった業務はしていません。


監視業務は「都」が管理しているため、別業者が請け負っていたからです。

そのため、防災センター待機中は特にやることはありませんでした。


僕たちが防災センターでやることは、火災受信機が発報した場合に非常放送を入れたり、現場確認や火災時の対応などです。


僕がこの現場に配属されている期間で火災が発生することはなかったので、防災センターでは結局何もしませんでした。


また、所長も緩い人だったので、防災センターではインターネット閲覧等で時間を潰していました。


僕が一番楽だと思ったのが、防災設備以外のトラブル対応のほとんどが別メンテナンス会社で請け負っていたことです。


そのため、防災センターにトラブルの対応電話がかかってくることがなかったのです。


電話対応は苦手なので気持ちは楽でしたね。


昼休憩が終わると、午後一番で空調機点検をおこないます。


とは言っても点検する空調機の台数は、驚愕の2台だけです 笑


しかも、防災センターを出てすぐのところに空調機械室があります。


点検時間5分で終了です(一応30分くらいは時間を潰してた)。


そのあとは18時の終業時間までただひたすら防災センターで待機です。


18時以降の宿直業務は特にすることもなく、人員も設備員1名と警備員1名だけなので、ひたすらインターネットか携帯ゲームで遊んでいました。


もちろん宿直中に大きなトラブルなど発生することはなく、平穏無事の毎日でした。


仮眠時間は業務内容上、24時~6時までの6時間でしたが、22時には館内の関係者がいなくなります。


そのため22時以降であればいつでも仮眠が取れる状況でした。


実際、警備が最終巡回して23時頃には仮眠を取ってます。


朝は6時起床でしたが、その時間帯は警備の巡回時間で設備は特にすることがなかったので、7時過ぎまで寝ています。


あとは9時に次直者に引き継いで宿直業務終了です。

その他の業務

半年に一回、消防設備点検がありました。


外注の点検業者がすべて対応してくれるので、こちらでやることは立ち会いのみです。


同じく半年に一回、消防訓練があり、これが一番面倒でした。


消防署の人間が来て実際に館内に放送を入れます。


館内の関係者を誘導するなど、結構本格的にやってましたね。

消防訓練は消防署の人間もくるので、1年で唯一緊張するイベントでした。

勤務形態

設備のシフトは

日勤 ⇒ 宿直 ⇒ 宿直明け ⇒ 休み ⇒ 休みor日勤

の繰り返しです。


夏季休暇や年末年始休暇も数日分を期間内に取らせてくれるので、休みもしっかり取ることができています。


休み中は、補助勤務として別の現場の人間が出勤してくれました。

楽な現場は1人が現場を知っていれば事足りるため、まったく現場を知らない人が補助勤務でくることは珍しいことではありません。

何かあった時の人員確保で十分なのです。

現場失注

この現場は1年で失注になっています。


どうやら相当な赤字現場だったらしく、会社は継続する気がなかったみたいでした。


失注の報告を聞いた僕は、不安になりました。


何もしていない1年間でした。


次の異動先で仕事がこなせるのか? 人間関係が上手くいくのか?


1年間遊んでいたツケが回ってきた気分でした。

現場異動が多いビルメン業界では、多くの人が「現場異動」を嫌がります。

築き上げてきた「人間関係がリセットされる」ことが大きな理由の一つです。

おわりに

次の異動先の現場は程よく忙しく、活気のある生活が戻ってきました。


あの頃を振り返ると、本当に無駄な1年を過ごしてしまったなという後悔があります


20代であんな現場に配属されれば遊びもしますよね。


そもそもこんな楽な現場に出会うことはもうないかと思いますが。


もしこれを読んでいるあなたのこれから配属される現場が楽な現場であった場合、誘惑に負けてだらけないように注意しましょう!! 


空いた時間に資格の勉強など何か目標を持って仕事に励んでみてください。

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