職長とは、作業現場の安全管理・指揮監督などをおこなう現場責任者的立場の人です。
この職長になるためには、職長教育という講習を受講しなくてはいけません。
「職長教育を受けてこい」と言われたものの、どんなことをするのか不安な人もいるでしょう。
今回は、様々な職種で必要になる「職長」の講習内容について簡単に説明したいと思います。
また、職長教育の内容はそれぞれの会社で微妙に異なります。
そのため、ここでの紹介は実際に僕が受講した内容になるので、ご了承ください。
受講資格
受講資格に明確な基準はなく、誰でも受講可能です。
しかし職長は現場責任者的立場になる人間のため、ある程度の実務経験を積んでから受講するケースがほとんどです。
そのため、自主的に受講するものではなく、会社側の指示を受け受講することが多いです。
僕の会社では3年以上の実務経験がなければ受講できません。
意外と面倒くさい講習?
職長教育の講習は2日間あります。
講習時間も9時~18時まであります(少し早めに終わらせてくれる講師もいます)。
講習は講師の話をただ聞いているだけではなく、グループ討議があるので知らない人と話したりするのが苦手な人にとっては苦痛な講習でしょう。
内容
基本は配られたテキストに沿って講師が説明します。
合間にビデオ学習やグループ討議が入ります。
ビデオ学習はただ観ていればいいだけなので楽です。
最後にアンケートと簡単なテストを受けます。
これは合否を決定するものではないので安心してください。
職長教育は「講習資格」なので、問題行動を起こさない限りは普通に修了証を受領できます。
グループ討議の内容
グループ討議は
- リスクアセスメント
- 作業手順書作成
基本的には上記2点でグループ討議します。
職長教育で学ぶリスクアセスメントとは、作業時において想定される事故などのリスクの洗い出しをおこないます。
そしてその損失を回避・低減する取り組みをグループで討議して発表していきます。
作業手順書は名前の通り、作業の手順書を作成することです。
事前に自分の会社の作業手順書を確認して、予習しておくのもいいでしょう。
またグループ討議では、役割分担があります。
- 作成した作業手順書を発表する「発表者」
- 討議の回し役「リーダー」
- グループで出た意見を記録する「書記」
- 別のグループの発表を聞いてコメントをする「コメント係」
概ね上記のような構成になります。
消極的な人が集まったグループに当たってしまった場合は、誰が何をするかで困ったりします 汗
リスクアセスメントと作業手順書は会社によって内容が異なる
職長教育は社内(内部)で受講する場合と社外(外部)で受講する場合とで内容が異なります。
社内講習を実施している会社であれば、作業内容はもちろんのこと、自社で作成している作業手順書のテンプレートを使って手順書を作成できるので分かりやすいです。
しかし、外部で受講した場合、まったく畑違いの作業内容で仕様の違った作業手順書を作成させられる羽目になるので苦労します。
社内で講習ができる会社であれば、社内講習を受講することをおすすめします。
リスクアセスメントって具体的にどんなことをするの?
リスクを洗い出し損失の回避をするリスクアセスメントって具体的にどんなことをするのか?
例えば次の絵を見てください。
梯子で配管作業をしていますね。
リスクアセスメントではこのような絵を見て、作業における不備やどのような危険(リスク)があるのかを討議します。
この作業の不備・リスクを上げてみると
- 一人で作業をしている
- 作業場所の周辺に石や配管があり、梯子の設置場所がよくない
- 工事場所に立入禁止等の処置をしていない
まず上記のような不備・リスクを洗い出します。
さらにそこから「重要性」「可能性」という評価を付けていきます。
- 重要性とは事故が発生した場合の怪我の具合を評価します。
- 可能性とは、事故が発生する可能性を評価します。
例えば「脚立から転落」した場合、骨折などの重傷を負う可能性があるため、重要性は高くなります。
逆に脚立から転落する事故が発生することは稀ですので、可能性は低くなります。
評価については、アルファベットだったり数字だったり会社によってまちまちです。
リスクを上げて評価した後はリスク低減策について考えます。
脚立からの転落の低減策としては
- 2人以上で作業を実施し、1人が脚立を支える
- 作業周辺にものを置かない
- カラーコーンなどを設置して第三者が近寄れないようにする
などがあります。
上記のような低減策をした場合は「事故が発生する可能性」が下がります。
注意したいのが、事故が発生した場合の重要性(怪我の具合)の評価は変わらないということです。
これは上記のようなリスク策では、事故が発生した場合において怪我の具合が低減するわけではないからです。
作業手順書ってどんな風に作成するの
作業手順書については前述したリスクアセスメントに作業手順を加えるだけです。
例えば「管球交換作業」についての作業手順を例題に出した場合
- 作業員の健康状態を確認
- ヘルメットと軍手を着用
- 脚立の搬入
- 作業箇所に脚立を立てる
- 照明の電源を切る
- 管球を交換する
- 照明の電源を入れて点灯確認
- 脚立を戻す
上記のような手順の流れを作成します。
そしてひとつひとつの項目について前述したリスクアセスメントをしていくわけです。
おわりに
これまで説明した通り職長教育は2日間ある講習で、グループ討議もあって面倒くさくはありますが、特別難しいことを課される講習でないため、不安になる心配はありません。
また、職長教育は5年毎に再教育を受けなくてはいけません。
その際は「上級職長教育」という講習を受けます。
内容は職長教育と変わりないですが、上級職長教育は1日で終わるので少し楽です(もちろんグループ討議はありますが)。
以上、職長教育についての紹介でした。