みなさんは、ビル管理士の資格をお持ちでしょうか?
使わずに眠らせている人はいませんか?
ビル管理法では一定規模の建築物において、ビル管理士を選任しなくてはいけません。
僕はヒラのしがないビルメンですが、実は過去にビル管理士として選任したことがあります。
今回は
- 将来的にビル管理士を取得して、選任業務をやってみたい人
- 選任の業務内容を知りたい人
に向けて、僕がビル管理士として選任した経験談を紹介していきます。
選任された経緯
まず、ビル管理士として選任された経緯を説明します。
当時の僕は20代で、ビル管理士の資格を取得したばかりでした。
そのタイミングで、会社から新しい物件を受注できたからビル管理士の選任になってもらいたいと依頼されたのです。
僕が働いているビル管理会社は小規模なので、ビル管理士の資格保有者の数もそれほど多いものではありません。
そのため、僕のような若造ビルメンに選任依頼がきたのです。
会社から依頼を受けた時は、務まるか不安はありましたが経験を付けたいという思いから選任になることを承諾したのでした。
このように小規模のビルメン会社では、経験問わず「ビル管理士の選任」を任されることがあります。
選任手当も付くので、依頼されたら積極的にやってみよう!
選任業務
常駐しない現場で選任
ビル管理士として選任された現場は常駐現場ではありません。
そのため僕は、ビル管理士として選任登録されているものの、別の現場に勤めている状況でした。
僕はいまだに、ビル管理士の「名義貸し」についての定義がよくわかっていないところがあります。
厚生労働省HPでは、以下のような文章が記載されています。
※ 建築物環境衛生管理技術者の選任について
出典:厚生労働省HP 建築物環境衛生管理技術者について
建築物環境衛生管理技術者を「選任する」とは、「置く」という場合と異なり、所有者等との間に何らかの法律上の関係(例えば委任関係)があれば足り、身分関係があることを要せず、かつ常駐することは必ずしも必要ではありません。
この文章ではビル管理士は、必ずしも常駐する必要はないと記載されています。
また、ビル所有者とビル管理士の関係性についても「委任関係」が成立していれば充分だとしています。
ただ、この文面だけだと不透明感はぬぐい切れないところはありますが・・・。
個人的な解釈としては、委託した会社と選任者に雇用契約があれば名義貸しにあたらないのではないかと思っています。
通常業務に於いてビル管理士がおこなう仕事はあまりない
常駐現場ではないため、なかなか現場に足を運ぶ機会はなかったです。
しかしビル管理者として登録されていますので、現場を知らないわけにはいきません。
年数回程度は点検に携わっていました。
点検は、ポンプ等の圧力値等の数値取りと塩素測定など簡単なもので、僕自身は巡回ビルメンに付き添っているだけで特にすることはありませんでした。
会社としても現場の状況をある程度把握していればいいという感じでしたね。
保健所の立入検査
ビル管理士としておこなった仕事の一つに保健所の立入検査の対応があります。
立入検査はどのビルでも定期的におこなわれており、数年に1回程度の現場もあれば毎年おこなう現場もあります。
僕のところでは毎年12月頃に保健所の立入検査がありました。
建築物の衛生設備が良好に保たれているか、点検記録内容に不備はないかなどを確認します。
保健所からは毎年2、3名がきてました。
そのため、現場確認班と書類確認班に分かれて現場案内をする形を取っています。
僕は毎回、書類確認の対応をしていました。
もちろん一人では対応できないため、現場に詳しい人間が付き添ってくれています。
どの現場でもビル管理士一人で立入検査の対応はしません。
必ずサポートが付くので僕のように選任経験がない人間でも務まりました。
よく確認してくるポイント・指摘を受けたポイント
吐水口空間・排水溝空間の確保
この現場では毎年立入検査をしていましたが、聞いてくるポイントは毎回同じでした。
まず、各水槽の「吐水口空間」「排水溝空間」については毎回必ず確認していましたね。
この現場では、前の管理会社が吐水口空間で指摘を受けていたようで、給水の塩ビ管を規定の長さに切って対応していたようです。
吐水口空間については、僕の今いる現場でも立入検査があるとよく確認してきます。
マスト事項といってもいいくらい高確率で確認してきますので注意しましょう。
本当に毎年同じことばかり聞かれたので、内容をメモしておけば来年度以降の立入検査で活用できるでしょう。
残留塩素測定場所
残留塩素は末端の水道から塩素を測定する必要があります。
だいたいどの現場でも塩素測定に使用する水道があるんですが、この現場では中水の末端で塩素測定できる水道がなかったため、小便器の洗浄水から直接採水していました。
この測定場所が不衛生として、中水が採水できるポイントを設けるようにとの指摘を受けました。
この指摘については結局、改善できないまま終わっています。
指摘された内容については、改善するのが望ましいですが、早急に対応しなくてはいけないということではありません。
空気環境測定記録
空気環境測定の記録では、湿度についての指摘をよく受けました。
居室内の湿度は40~70%に保つ必要があります。
加湿方式が気化式を採用している現場では、だいたいどこも冬場は湿度が40%未満になることが多く、調整に苦労しています。
この現場も加湿は気化式だったので、冬場の湿度が40%を下回っていました。
立入検査では専門的なことはあまり聞かれません。
「受水槽を見せてほしい」といったような設備の案内がメインとなるため、建物内のどこにどんな設備があるのか把握しておきましょう。
飲料水についての管理状況報告書の提出
東京都のビルメンテナンス現場では「飲料水貯水槽等維持管理状況報告書」というものを提出する必要があります。
報告書は毎年12月に所管の保健所に郵送で提出していました。
僕の現場で提出していた報告書の内容は以下のようになります。
- 上水受水槽の点検・清掃記録
- 上水高架水槽の点検・清掃記録
- 貯湯槽の点検・清掃記録
- 上水水質検査記録
- 給湯水質検査記録
- 残留塩素測定記録
報告書は前年の12月から今年度の11月までの点検記録を提出します。
この報告書は僕自身で作成しました。
とはいっても、水質検査や残留塩素の点検記録は書類を集めるだけで揃えることができます。
上水・給湯の点検・清掃記録の報告書については様式が用意されているので、点検・清掃した日付を打ち換えればいいだけです。
東京のビルメン現場なら毎年提出しているはずなので、一度どんなものか確認してみよう!
選任手当について
ビル管理士の選任手当は各会社によってけっこう変わるような話をよく聞きます。
僕の会社ではビル管理士の選任手当は20000円付きました。
手当の相場が分からないのでなんとも言えませんが、前述した業務内容でこの金額なら悪くないと思いませんか?
また、別途で資格手当として5000円付いていたので選任手当と合計すると25000円にもなります。
年間にすると30万にもなるぜ!
おわりに
ビル管理士はコスパのいい資格だと僕は思っています。
ただし、会社によっては選任手当を数千円しか付けてくれないところもあるようです。
そういった場合は、選任手当について会社側としっかり交渉をしたほうがいいでしょう。
何かあったら責任を負う可能性があるので、僕なら最低でも10000円は欲しいところです。
また、選任されなくてもビル管理士は資格手当が付きますので取得して損はないです。
だいたいどの会社でも5000円前後は付けてくれます。
試験は簡単なものではありませんが、過去問の暗記でも対応可能なのでなんとかなりますよ!
ビル管理士の資格試験については、ビル管理の王道資格【建築物環境衛生管理技術者】の資格挑戦前に資格概要・ポイントを確認しよう!!で紹介していますので、ぜひご覧になってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。それでは