ビルメン業界に足を踏み入れた者が初めに取得するべき資格 “ビルメン4点セット”
比較的簡単な資格ではありますが、この4つの資格は歴とした「国家資格」です。
そのため、一夜漬けのような半端な勉強では合格することはできません。
そして各試験はそれぞれ試験日が異なるため、効率よく取得していくのが理想的と言えます。
今回は、そんなビルメン4点セットについてできるだけ楽に取得する手順を紹介していきたいと思います!!
- 4月から入社予定の新卒者
- 資格を所有していない人
- 4点セットの取得手順を知りたい人
ビルメン4点セットって何?
ビルメンテナンス業務に従事する上で、必要になる基本的な資格です。
全体的に資格難易度も低いので取得し易く、ほとんどのビルメンテナンス会社では資格手当が付きます。
知識も増えて資格手当で給料もアップするから一石二鳥だ
危険物取扱者乙種四類
危険物を取り扱うことのできる資格で、ビルメンテナンスでは主に非常用発電機などに使用される重油を取り扱う際に必要になります。
年間20万人が受験する人気資格のため、一般的にも知名度が高い資格と言えます。
免状更新は、10年以内に写真の差し替え手続きをしなくてはいけません。
また、危険物取扱の業務に就いている場合は「保安講習」を受講しなければいけません。
しかしビルメンの場合は、危険物取扱者として選任されている人間だけ講習を受講する義務があるので、資格を保有しているだけなら前述した写真の更新のみで問題ありません。
2級ボイラー技士
ボイラーを扱う際に必要になる資格です。
ボイラーは、温水・蒸気などを作り出し、空調や給湯などの熱源に使用されるなど、ビル設備の様々な用途で扱われます。
近年では、取り扱いに資格の不要な小規模ボイラーの設置が増えてきており、需要は年々、減少傾向にあります。
実際、僕が経験した現場ではボイラーを扱っているビル・施設はほとんどありません。
しかし、ボイラーの資格が必要な現場はまだまだありますので、配属先で必要になることも考えて資格取得を目指しましょう。
また、この資格には免状の更新がありません。
第二種電気工事士
電気工事をする上で、取得しなくてはいけない資格です。
厳密に言えば、ほとんどのビルメンテナンス現場でおこなう電気工事は、電気主任技術者の監督・立ち会いのもとでしか認められていません。
電気についての特別講習さえ受ければ、無免許でも電気工事ができます。
とは言え、現実は発注者側との契約上、電気の知識を有している人員を配置する必要があるため、電気工事士の資格は必要なものになってきます。
また、第二種電気工事士の免状も更新の必要はありません。
第三種冷凍機械責任者
冷凍機械は空調や冷凍・冷蔵などの用途で使用される機器です。
ボイラー同様に資格を必要としない冷凍機が増えてきています。
4点セットの資格の中でも一番需要はありませんが、一番難しい資格だったりします。
そのため、資格手当を他より高く設定している会社が多いです。
ビルメンテナンスでは空調機の点検や不具合の対応時の基本知識として抑えておくべき資格と言えます。
こちらの資格も免状の更新はありません。
試験概要|情報
4つの資格の試験概要は次の通りです。
乙四 | ボイラー2級 | 電工二種 | 冷凍三種 | |
---|---|---|---|---|
試験日 | 毎月 | 毎月 | 筆 5,10月 技 7,12月 | 11月 |
合格率 | 30~40% | 50~60% | 筆 60%前後 技 70%前後 | 一般 30% 免除 80~90% |
受験料 | 4600円 | 6800円 | 9600円 (ネット9300円) | 8700円 (ネット8200円) |
第二種電気工事士は年2回挑戦できる! 筆記試験は合格したけど、技能試験を落ちた受験者は次回の試験を必ず受けに行こう!
第二種電気工事士は年間2回試験を受けることができます。
筆記試験に合格して技能試験に落ちてしまった受験者は、次回の筆記試験が免除されます。
注意点は次回の試験のみ免除が有効になるということです。
- 上期の筆記試験に合格 → 筆記試験免除は、受験した年度の下期のみ有効
- 下期の筆記試験に合格 → 筆記試験免除は、受験した次年度の上期のみ有効
裏技? 第三種冷凍機械責任者を楽に取る方法
試験概要に表記している冷凍三種の合格率の欄に「免除 80~90%」と表記されているのにお気づきだったでしょうか?
実はこの試験は、高圧ガス保安協会の講習を受けることにより科目免除の適用を受けることができます。
冷凍三種の科目は「法令」「保安管理技術」があり、免除を受けられるのは保安管理技術です。
講習は毎年2月・6月頃に開催されています。
受講受付は講習開始の1ヶ月前くらいからです。
3日間を受講して、別日に検定試験が実施されます。
検定試験の合格率は70%ほどなので、講習を受ければ必ず受かるものではありません。
受講料は書面申請で16900円、ネット申請では16400円(※令和3年10月1日から書面で20000円、ネット申請で19500円に見直し)に加えて、別途テキスト代もかかります。
講習は費用こそかかりますが、冷凍三種の試験が年1回しかないことを考えれば、受講する価値はあるでしょう。
資格手当の出る会社なら長期的に見れば、受講料を回収できます。
興味のある方は「高圧ガス保安協会HP」で詳細を確認してみてください。
高圧ガス保安協会講習は、お金で合格が買えるほど甘くはありません。
講習では講師の話をしっかりと聞いてポイントをメモしておきましょう。
また、一度講習試験に合格すれば一生科目免除の適用を受けられます。
2級ボイラーは実務経験がなければ講習を受講しなければならない
2級ボイラー試験は受験料こそ6800円とそこまで高い金額ではありません。
が、2級ボイラーの免状取得には実務経験が必要になります。
実務経験がない「新卒ビルメン」「未経験ビルメン」そしてボイラーを扱っていない現場で働いているビルメンの場合は、実技講習を受けなければ免状を取得できません。
つまり、受験料+講習料がかかります。講習の詳細については「日本ボイラ協会HP」で確認できます。
テキスト料金を含めると大体2万円くらいかかるものと思ってください。
講習の方は、数ヶ月先まで予約が入っているので、計画を立てて早めに申請するようにしましょう。
試験と講習はどちらから先に受けても問題ありません。
効率よく取得していきましょう。
ボイラー試験には出張試験というものがある
2級ボイラーの試験は難しいものではありませんが、一つ注意点があります。
それは試験会場が少なくて、へんぴな場所にあるということです。
関東圏内に住んでいる方なら、千葉県の五井まで足を運ばなければいけません。
ですので、住んでいる地域によっては前乗りで準備しておかないといけない可能性があります。
わざわざ遠くの試験会場まで足を運ぶのはしんどいぜ!
しかし、この問題を回避する方法があります。それが、出張試験です。
決められた期間しか開催されませんが、各都道府県別で試験を受けることができます。
また、申請の受付期間が短く、需要もあるのですぐに満員締切になってしまいますので、注意してください。詳しくは「安全衛生技術試験協会HP」で確認できます。
近くの試験会場なら精神衛生的にも楽になるぞ
取得手順を考える
まず大前提として1年で4つすべてを取得しようと思わないでください。
勉強が好きな人であれば、ビルメン4点セットを1年で取得することは可能ですが、無理をしない範囲で資格を取ることは大事なことです。
そのことを踏まえて取得手順を考えてみましょう。
おすすめ取得手順
~初年度~
- 危険物乙種四類
- 第三種冷凍機械責任者(講習)
- 2級ボイラー技士(講習)
- 第三種冷凍機械責任者(試験)
~次年度~
- 第二種電気工事士
- 2級ボイラー技士(出張試験)
- 第二種電気工事士(上期不合格の場合)
4つの資格の中で一番需要が高い資格は第二種電気工事士です。
しかし、取得順になると話は変わってきます。
まず、受験申請時期を考えると電気工事士の上期試験は4月の初めで締め切られます。
新年度からいきなり資格の申し込みを迫られるのも精神的にきついですよね。
ですので、最初に受ける資格としては危険物取扱者乙種四類がおすすめです。
毎月試験が開催されていることと、費用面で一番負担が少ないからです。
危険物は上期(4~9月)のどこかで受験しましょう。
そして、5月には冷凍三種の講習受付が始まります。
3日間の講習と別日に検定試験がありますので、職場の休みの調整をしっかり計画しておく必要があります。
ボイラーは下期(10~3月)のどこかで「講習」を受講しておくのがいいでしょう。
予約はかなり前から申請しておかないと、間に合わないかもしれないので早めに行動しておきましょう。
11月には冷凍三種の試験が始まります。講習を受けていれば、ほぼほぼ合格するとは思いますが気は抜かないように注意しましょう。
この年度の資格取得目標は【危険物取扱者乙種四類】と【第三種冷凍機械責任者】+(ボイラー講習)になります。
会社の資格手当では大体3000~5000円くらいが相場です。
次年度にはボイラーを出張試験で受験しましょう。
あとは第二種電気工事士取得を目指して勉強を進めていけば4点セットのコンプリートが見えてきます。
電気工事士の試験は下期に受験して不合格だった場合、次回の試験は年を跨ぐので、モチベーションの低下が懸念されます。
電気工事士試験は上期から受験することをおすすめします。
この手順を踏めば、2年で4点セットを無理せずに取得できるはずです。
4点セットすべてが揃った場合の資格手当は、5000~8000円くらいになるかと思います。
資格手当の支給で受験費用はすぐに回収できるのさ
おわりに
4点セット取得後の次年度には「建築物環境衛生管理技術者」の資格に挑戦してみましょう。
2年の実務経験があれば受験可能なので、そういう意味でも4点セットは2年で取得しておくことが望ましいです。
「建築物環境衛生管理技術者」については、別記事で紹介していますので確認してみてください。
今回はビルメン4点セットを楽に取得できる手順を紹介しましたが、そもそも冷凍3種の講習受講に頼りたくないという人もいることでしょう。
その場合は、電工二種と冷凍三種を年度別で取得することをおすすめします。
この2つの資格はボイラー、危険物に比べて難しく、試験勉強に費やす時間も多いからです。
また、試験回数から考えると、年2回の電工二種より年1回しかない冷凍三種から手を出した方が無難です。
そして、資格の勉強を効率的に進めるおすすめ方法が、iPadを使用することです。
活用方法を記事にしていますので参考にしてください。
以上、ビルメン4点セットを楽に取得する手順紹介でした。