建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験に合格した人が次に目指す資格といえば「第三種電気主任技術者」「エネルギー管理士」などがあります。
しかし、この二つの資格は理数系試験のため、苦手とするビルメンは多いです。
僕もその一人でありますが 苦笑
そのため、ビル管理士から同じ文系資格である、宅建士の試験に挑戦するビルメンもいます。
僕は両方の資格を保有していますが、初めに取得したのは宅建士でした。
ビルマネジメントでは評価される資格ではありますが、ビル管理員として設備保守をする人にとっては必要な資格とは言えません。
でも資格手当を支給してくれるビルメン会社もあるんだぜ!
しかし、年間20万人が受験するメジャー資格であるため、知名度は抜群です。
畑違いの仕事に転職する際も宅建士の資格を持っているだけで、ある程度の教養があると判断してもらえたりします。
今回は、ビル管理士と宅建士の試験を受験した僕が、双方の資格についていろいろな角度から比較していきたいと思います。
ビル管理士と宅建士を比較
どっちが難しかった?
僕個人の意見としては、宅建士の方が難しかったです。
宅建士は、民放など単純な暗記だけでは太刀打ちできない問題が多く出題されます。
そのため、過去問を暗記すれば合格できるビル管理士とは違い、内容を理解しなければ合格が難しいからです。
「とにかく取っ付きにくい」というのが僕の宅建士に対する印象です。
専門用語が多いため、慣れるまで時間がかかりました。
よく畑違いの資格だからビル管理士より難しく感じるといった意見もありますが、僕の場合それは感じませんでした。
その理由は、専門分野であるビル管理士の問題でさえ、初見ではほとんど解答できなかったからです。
試験に合格できる知識と経験から得られる知識は違います。
これは逆に、不動産会社で勤めている人にも言えることです。
仮に僕が不動産会社に勤めているとした場合、どちらの試験が難しかったと問われれば、おそらく「宅建士」と答えるでしょう。
また、宅建士試験には明確な合格ラインが存在しません。
合格基準を合格率15~18%程度に調整しているからです。
過去には36点取っていれば安心と言われている時代もありましたが、令和2年の試験では38点が合格ラインでした。
宅建士試験は全50問です。つまり、実質76点以上取らなければ安心とは言えないのです。
合格ラインが7割を超える試験は総じて難しいです。
「良い点数が取れた=全体の平均点も高め」 の図式ができ上がるため、合格発表まで安心できない試験なんじゃ
反面、ビル管理士試験は全180問で6割5分(117問)の正解と各科目で4割を正解していれば合格できます。
どうでしょう?ビル管理士の方が簡単だと思いませんか?
勉強時間
勉強時間を比較しても、宅建士に費やした時間の方があきらかに多いです。
勉強方法にもよりますが、僕はビル管理士を勉強する際は、テキストを使わずに過去問だけ繰り返し解いていました。
一方の宅建士はというと、本屋で過去問を読んでみて専門用語だらけの問題に訳が分からずでお手上げになり、テキストを購入した経緯があります。
宅建士試験は、1問に対する文章量が多いです。
読解力があまりない僕は、2回、3回と問題を読み返さないと理解できないレベルでした。
僕の場合
- ビル管理士に費やした勉強時間が250時間
- 宅建士に費やした勉強時間が400時間程度
だったので、倍近く宅建士に費やした勉強時間の方が多いです。
双方とも試験範囲は広い
1問あたりの文章量が多い宅建試験は理解するのに時間がかかるのさ
テキスト
ビル管理士に使用した本は通称「赤本」と言われている過去問題集のみです。
単純にこれだけで合格した先輩方の実績もあったため、何の疑いもなく試験勉強に臨みました。
1冊2000円程度とコスパもいいです。
試験会場でも赤本以外を使用している人はほぼいなかったと記憶しています。
宅建士では、初めて購入したテキストが、市販で売られている「らくらく宅建塾」という本でした。
かなり読みやすい参考書と記憶していましたが、途中で挫折しています。
実は、宅建士の試験は2回目の挑戦で合格しています。
そのため、2年目では市販で購入したテキストではなく、通信講座のユーキャンで再挑戦しました。
2回目の資格挑戦はモチベーション維持が大変です。
高額な通信講座に手を出した理由も、逃げ道を作れない環境を作るためでした。
宅建士の場合、分野別でテキストが売られているケースが多いです。
そのためビル管理士に比べ、かかる費用も多くなります。
勉強の面白さ
試験勉強のモチベーションが継続する理由の一つに「勉強の面白さ」があります。
双方の試験を比較すると個人的にはビル管理士の方が面白かったです。
ビル管理士試験は7科目の分野に分かれていることもあり、雑学的な問題も多く出題されます。
そのため、クイズ感覚で覚えられる問題が多くあり、モチベーションを維持できました。
逆に宅建士の勉強はとにかく疲れます。
宅建士の試験問題は、小難しい表現をする読みにくい小説のような感覚です。
文章の意味を理解できず何回も読み返すことが多く、それがとにかく面倒でした。
免状
ビル管理士と宅建士の違いとして免状(免許)にかかる金額にかなりの差があります。
ビル管理士の免状は、試験合格後に必要書類を申請先に送付するだけで免状を取得できます。費用も2300円程度で済みます。
一方、宅建士の試験合格者が免許を取得する場合は、実務経験2年以上もしくは実務講習を受講しなければいけません。
僕はビルメンなので、もちろん実務経験はありません。
宅建士試験合格は一生失効することはないので、使わないのであれば取引士証を作る必要性はないです。
僕の場合は、資格手当を出してくれる会社だったということもあり、講習を受けて取引士証を取得しています。
正直、資格手当が出ない会社であれば、取引士証を作るメリットはありません。
それは、資格の登録にかかる金額が高額だからです。
実務経験がない場合、講習料2万円+資格の登録37000円もかかります。
趣味で取得するのにも躊躇する金額だぞ!
双方の免状ってどんな感じ?
ビル管理士と宅建士の免状は大きく違います。
ビル管理士は賞状タイプの免状で、宅建士はラミネート加工のカードタイプになっています。
そのため、ビル管理士の免状はA4サイズの額縁などに保管して部屋の中に飾っておきましょう。
宅建士の免状は顔写真+住所氏名が明記されているので身分証明としてある程度の信用を受けられるものになっています。
しかし作りがラミネート加工で簡単に偽装されそうなこともあり、身分証明の信頼度は運転免許証に遠く及ばないでしょう。
ちなみに宅建士では免状とは別に合格証書が授与されます。
この合格証書は、取引士証を申請するのに使うのでなくさないように注意が必要です。
なくした場合は再発行してくれません 涙
その場合は、代わりに「合格証明書」というものを発行してくれます。
まとめ
項目 | ビル管理士 | 宅建士 |
---|---|---|
難易度 | 3 | 3.5 |
勉強時間 | 250時間 | 400時間 |
勉強費用 | 2500円 | 6万円 |
免状代金 | 2300円 | 37000円 |
勉強開始時期 | 試験3ヵ月前 | 試験6ヵ月前 |
勉強の面白さ | 面白い | つまらない |
試験合格満足度 | 満足 | 満足 |
最後にビル管理士と宅建士の難易度は宅建士の方が難しいと言いましたが、ビル管理士の試験に合格できる人であれば宅建士の試験も問題なく合格できるかと思います。
最初は取っ付きにくいとは思いますが、続けていくうちに理解ができてくるはずです。
ビル管理士試験に合格した人は、宅建士の試験に挑戦してみてはいかがでしょうか?
双方に共通すること、それは「合格するとめちゃくちゃ嬉しい」と言うことです。
以上、ビル管理士と宅建士の比較についてでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。